発散と収束のあいだ ~ダイコンスクラム~

働き方改革?生産性向上?そんなことよりまず全員が幸せに働ける世界にしよう。「チーム」「信念」「感情」この3つの大切さを日本中に広めたい。思考と感情をダンプし、自分の輪郭を明らかにする。心理的安全性を高める哲学とか解説ポエムとか、アジャイルなマインドとか

『グラフィックファシリテーション』対話を活性化する方法

盛り上がらない会議。発言しようと思えない会議。一部の人しかついて行っていない会議。盛り上がったかどうか微妙な対話のイベント。広がらないブレスト。未来を考えることに全く繋がらない1on1ミーティング。

 

ここて突然ですが、『グラフィックファシリテーション』をご存知でしょうか。今のギスギスしたコミュニケーションの場を変えていける可能性を秘めた、対話を促進する手法です。

 

 

グラフィックファシリテーションとは

対話(はなし)を見える化することで、
場の活性化や相互理解をうながす技術です。

 

grafaci.or.jp

 

活性化のために「絵=グラフィック」を描いて対話の流れを見える化するのが、グラフィックファシリテーションです。模造紙などに、太いペンでグラフィックを描き、参加者がひと目で対話の流れを把握できるようにします。


f:id:paraesta:20200130081831j:image

(対話ではなくプレゼンテーションですが、練習で描いたものです)

 

なお、ここで言う「対話」は、"相手の発言の背景や事情や思いに寄り添うコミュニケーション"のことです。正しく対話ができると、相互理解が急速に進みます。発言をグラフィックに置き換えて示すことで、この対話を促進することができます。

 

なお、グラフィックファシリテーションを行う際に「描く人」のことを、グラフィックファシリテーターと呼びます。

 

ちなみに対話と議論と会話の違い

diver-conver-scrum.hateblo.jp

 

グラフィックレコーディングとグラフィックファシリテーション

似たような「場の見える化」の手法として、「グラフィックレコーディング」があります。いわゆる「グラレコ」というやつで、世間的にはこちらの方が有名かもしれません。

パッと見、それぞれ似てはいるのですが、目的や描いたグラフィックの位置付けに違いがあります。

 

グラフィックレコーディング

(目的)

主な目的は、場を「構造化」することです。

 

(場とグラフィックの関係)

その場の事実や結論を記録し、綺麗にまとめることが大切です。場の参加者は、グラフィックを見ることで論点を明確に掴みながら発言できるようになります。

 

(成果物)

完成したグラフィックは、グラフィックそのものが成果物となります。そのままプレゼンテーションに使える様な、見栄えの良いグラフィックが求められます。

 

グラフィックファシリテーション

(目的)

主な目的は、場を「活性化」することです。

 

(場とグラフィックの関係)

その場の空気感や臨場感、感情や思いを"布置"し、場の情景のありのままを描くことが大切です。場の参加者は、グラフィックを見ることで発言の裏にある背景や思いを想像することができ、本質を探る質問が出やすくなります。

 

(成果物)

完成したグラフィックは成果物ではなく、「活性化した場」が成果物です。場が活性化されさえすれば、グラフィックの見栄えは問われません。

(つまり、絵が下手でも出来るということです)

 

グラフィックファシリテーションの良し悪し

良いところ

(過去の発言内容を追える)

発言内容がグラフィックとして残るので、発言を聞き逃した場合や意味が理解出来なかった場合でも、対話の流れについて行きやすくなります。

 

(発言者のイメージや場の雰囲気をダイレクトに受け取れる)

人は他人の言葉を聞いた際、過去の経験や体験、知識と照らし合わせて、その言葉を理解します。脳内で言語をイメージに変換する感じ。この変換をグラフィックファシリテーターが担うため、聞き手ごとの解釈のブレが少なくなります。

また、場の雰囲気も合わせて表現されるため、場の一体感も醸成されていきます。

 

発言内容から発言者の頭の中にあるイメージを汲み取り、場の雰囲気を感じ取り、それを描くことは、本当に難しいです。グラフィックファシリテーターの腕の見せ所です。


f:id:paraesta:20200130081958j:image

(こちらも、練習で描いたもの。文字で記すよりも、臨場感を感じませんか?)

 

(結果、対話が活性化される)

全員が同じ対話の流れに乗ることができ、さらに共通の理解も進められます。ということは、流れに乗らない頓珍漢なやり取りも減り、本質的な部分に「潜る」対話の活性化が望めます。

 

イマイチなところ

(対話の流れを予測しづらい)

グラフィックファシリテーターは、発言しているイメージに寄り添うことを行います。一方で、場を誘導するような、いわゆる「ファシリテーション」は行いません。対話の流れは参加者の頭と心にある内容、そこからの発言内容に依存するので、対話を持っていきたい方向性を決めたい方には、オススメできません。

(個人的には、この「誘導する」感じを、好まなくなってきましたが。)

 

(結論が出るまでに時間がかかるかも)

対話は本来、結論を出すために行うものではありません。そのため、その場で結論が出ないこともありえます。何か急ぎで結論を出したい場でグラフィックファシリテーションを行うことも、オススメできません。

 

(結論を出す目的で行うのは「議論」。改めて違いのリンクを貼っておきます。)

diver-conver-scrum.hateblo.jp

 

おわりに

もしグラフィックファシリテーションでの対話を体験できる機会があれば、積極的に参加者してみてください。一風違った世界が見えますよ。

 

もしグラフィックファシリテーションをやってみようかなと思われた方のために、オススメの講座のリンクを貼っておきます。

 

www.street-academy.com

 

さあ、あなたも。

 

(念の為にお伝えしておくと、決して協会の回し者ではありません。受講頂いても、ぼくには一銭も入りません。職場からは何人か送り込んでいるので、ちょっとくらい何かもらっても良いんじゃない……プロッキーとか。とは思っていますが。)

 

あわせて読みたい

diver-conver-scrum.hateblo.jp

diver-conver-scrum.hateblo.jp

diver-conver-scrum.hateblo.jp