ゴールデンサークルの「How」は「どうやって」じゃない
はじめに
今回のテーマ
は、「ゴールデンサークルの『How』は『どうやって』じゃない」です。
以前書いた記事の、正式版です。
「ゴールデンサークル?なにそれ食えんの?」という方から
「ゴールデンサークルの良さが理解できていないんだよな」という方や、
「良さを伝えたいのに理解してもらえない」
という方に、是非お読みいただきたいです。
骨子はこんな感じ。
今回扱うサイモン・シネック氏の「ゴールデンサークル」は、
プロダクトづくりや、人を動かすには『Why=志』が必要、という趣旨の主張です。
#世のプロダクトオーナーは、全員心に刻んでおくべきだと思う
「知らないよ」という方は、是非一度視聴してみてください。
このゴールデンサークル、とても大切なことを言っていると、ぼくは思います。
一方で、『How』に関する勘違いから、人と解釈が噛み合わない、良さが伝わらないことがありました。
今回は、「要素を足したゴールデンサークル」を通じて、ゴールデンサークルの理解を深められたら、と思います。
この記事で伝えたいこと
は、3つです。
「そもそもゴールデンサークルって?」
動画で述べられている趣旨を、要約してお伝えします。
「どんな誤解が生まれるの?」
ものづくりが盛んな日本ならではかもしれない、
ぼくの周りで起こりがちな誤解を共有します。
「誤解を減らすために要素を足してみよう」
よくある誤解を踏まえて、
より良いゴールデンサークルのカタチをご提案します。
ゴールデンサークルのマインドをみんなで理解して、
世の中の全てのプロダクトが想いに溢れますように!という心意気です。
「そもそもゴールデンサークルって?」
人は「何を(What)」ではなく「なぜ(Why)」に動かされる
動画中に繰り返される一節です。
その具体例として、以下の対比の話などをされています。
一般的な企業の訴求
「我々はこんな素晴らしいコンピュータを作りました。」(What=コンピュータ)
「他社製品と違い美しく簡単に使えて、親しみやすいコンピュータです。」(How=美しく簡単に使えて、親しみやすい)
Appleの訴求
「我々は世界を変えるという信念でプロダクトを作っています。」(Why=世界を変えたい)
「美しく簡単に使えて、親しみやすい製品です。」(How=美しく簡単に使えて、親しみやすい)
「こうして素晴らしいコンピュータができあがりました。」(What=コンピュータ)
Appleの訴求の方が、ちょっと欲しくなる、心が動きますよね?という主張です。
人は「何を」ではなく「なぜ」に動かされる。
ゴールデンサークルの大枠は、こんな感じです。
動画ではもっと良い説明も良い事例も話されているので是非、動画全編を視聴してみてください。18分ほどです。
「どんな誤解が生まれるの?」
一言で言うと、「『How』より『What』の方が大切だろ!?」という誤解が生まれました。
※「Why」→「How」→「What」という言葉だけを扱った際に、起こりました。
※動画を見てゴールデンサークルの主張を正しく理解すると、この誤解は起きないと思います。
誤解が生まれた原因を考えてみました。
誤解を生む重要な要素として、
「ものづくりの経験」+「プロダクトアウトは悪という価値観」(+「日本語を母国語とした直訳」)
という背景が透けて見えました。
解説します。
冒頭の誤解の言葉を意訳するとどうやら、
「『どうやって』作るかより『何を』作るかの方が大切だろ!?」
と言っていた様です。
「プロダクトアウト≒作れる、作りやすいものを作る」のは悪、という主張と一致します。
でも、ゴールデンサークルの『How』は、
『どうやって』作るかという意味では言って無さそうです。
では何と訳すのが適切でしょうか……
ぼくなりの解は、『どのような』です。
「『どのような』製品を作るかは、『何を』作るかよりも大切」
こう表現すると、ゴールデンサークルの主張(の枝葉)が、正しく伝わりそうです。
誤解の原因は、『How』を『どうやって』と直訳することの様です。
「誤解を減らすために要素を足してみよう」
結論から言うと、こうしました。
「Why」→「How」→「What」→『How2』
※なぜ→どのような→何を→『どうやって』
Howの訳を丁寧に説明するだけでも、誤解を減らせるかもしれません。
でも、いちいち説明するのが面倒そうだし、確実性が低そうです。
なので、ぼくは「どうやって」の要素を足すことにしました。
「何かを作る」経験は、誰しもおありだと思います。
何かの商品や、組織の方針やルール、
料理やDIYで家具を作ったりすることもあるかもしれません。
これらを作り終えた際、その直前に悩んでいたことは何でしょうか?
あるいは、解決することで一番スッキリした悩みは何でしょうか?
きっと、「なぜ」作るかではなくて、「どうやって」作るか、ではないでしょうか。
「どうやって」は分かりやすく扱いやすく、作ることが一段落した際に思い出しやすいので、意識が向きやすいのではないかと思います。
「どうやって」に向いた意識を誤解に繋げないために、
「どうやって」=『How2』は後だからね!
と明示する意味で、要素を足しました。
※ちなみに余談ですが、ものごとを訴求する際に『How2』を加えて伝えると、
「蛇足」と感じる人もいるので、『How2』の多くを語るのはあまりオススメしません。
※↑「こだわり」の弊害だと思ってます。また後日書きたい。
まとめ
この順番に組み替えて伝えよう、考えよう。
「Why」→「How」→「What」→『How2』
※なぜ→どのような→何を→『どうやって』
人は「何を」ではなく「なぜ」に動かされるから。
人は忘れる生き物です。
過去に考えた「なぜ」を忘れて、
「何を」「どうやって」に囚われるのは、きっと自然なことです。
でも、人は「なぜ」に動かされるなら、
きっと自分も、
自分自身の「なぜ」に動かされるのではないでしょうか?
だとしたら、自分自身の「なぜ」を忘れないように、
自分にとってより素敵な自分自身の「なぜ」を見つけられるように、
毎日の始まりに「なぜ」を思い出すなり、
文字にして「なぜ」を残すなり、
口に出して人に「なぜ」を伝えるなり、
自分なりの忘れない工夫を、
行動に移してみてはいかがでしょうか。
この記事を書いたぼくの「Why」が気になった方はこちら